規文堂 企画部

2020年現在、東日本大震災から9年が経ちます。

その後も、熊本地震や大阪北部地震など震災は我々を度々襲います。

 

図書館の家具を製作している会社としては、大型家具が倒れたり本が落下したりする被害をなるべく防ぐという職務があります。

では、その地震の正体とは何なのか?

日本の耐震基準はどうなっていて、それに対してどう対策すればいいのか?

具体的に、かつ基本的な部分から述べていきます。

 

まず、地震というのは波であり、振幅や周期などにより特性が決まります。

テレビでは震度、マグニチュードという言葉を使いますよね。

 

震度というのは日本の気象庁が設定した数値で、建物が受ける損傷や揺れ方とは直接は関係がありません。日本の建物は震度ではなく、「建築基準法に定められた慣性力」に耐えられるように作られています。

ちなみに震度は1~7まであります(7以上はすべて7として分類されます)。

この辺りは話すと長くなりますが、とにかく震度はあくまで目安の一つです。実際は、直下型地震(例:大阪北部地震)か海溝型地震(例:東日本大震災)か、あるいは建物の高さ、材料、建っている地盤の種類など、様々な要素に左右されます。

兵庫県にある国立の実験所では、実際の建物の揺れ方を実験していて、ネットでも公開されています。興味のある方は一度見てみるとイメージが掴みやすいかと思います。

 

さて、先ほど震度は直接建物の被害と関係ないとは言いましたが、「超ざっくり」な目安を記しておきます。

日本の建築は、法律により、

・ 「建物存在中に数回受けるであろう地震(震度5弱~強相当)においては、構造が損傷しない

・ 「数百年に 一回程度発生する可能性のある地震(震度6~7)においては、損傷はあれど倒壊はしない(人命を守る)

という耐震性を確保するよう規定されています。

 

この「損傷」と「倒壊」の区別はかなり重要です。

そして、建物であれ家具であれ、人命のために「倒壊」は絶対に防がなくてはなりません。

 

さて、大型家具の揺れ方について移りましょう。

先ほど、建物は慣性力に対して設計されていると述べましたよね。慣性力というのは、電車やバスが急発進・ブレーキした時かかるあの力のことです。建物は、地面が動くから慣性力がかかって揺れてしまうんですね。

地震による揺れ = 慣性力のせい

同じように、家具にも慣性力がかかります。

建物が揺れると、地面と建物の関係と同じく、家具や人にも慣性力がかかります。マクロで見ると、実は原因は全て慣性力だと言えます。

家具の揺れも、慣性力が原因!

とは言ったものの、「そもそも慣性力って何? どういう力なの?」という方も多いと思います。

性質をざっくり言いますと、

・質量が大きい(重い)ものほど、大きな慣性力がかかる

・慣性力は重心にかかる

という特徴が挙げられます。

 

例えば、図のような棚があるとしましょう。

棚Aは上の方に荷物が多い、つまり重心は高く、慣性力も上の方を中心にかかることになります。これでは地震のときに倒れやすいですね。

また、重心は家具が倒れる or 倒れない問題に作用します。下の図を見てみましょう。

重心が支点を越えてなければ、重力に引っ張られて元に戻ります。支点を一度越えてしまうと、重力が悪さをして急速に倒れてしまいます。

転倒を防止するためには、当たり前ですが、上の図の右側まで行かないように壁や床に固定するなどの処置が必要になるというわけです。

家具の重心を意識するだけでも、十分に防災につながります。

 

続きは定期的に更新していくので、ぜひ参照いただければと思います。